きらきらチャレン人
~みんながイキイキと暮らせるように~
2016/12/19
今回ご紹介する『チャレン人』は、「そすいの郷」の代表を務める金田 文男さんです。
「そすいの郷」は、日本三大疏水の一つ、「那須疏水」の清らかな水により育てられた農産物の『直売センター』と、同じ敷地内にそば処『そすい庵』があります。
そすいの郷 直売センター
「そすいの郷 直売センター」のコンセプトは、“安さ”と“新鮮さ”。
その朝採り野菜を求めて、平日で約30名、週末にはなんと約60名ものお客さんがオープン前から並ぶのだとか。
中には東京から毎週来るという方もいるそうです。
約170名もの会員農家さんを抱え、いつでも野菜の品揃えが豊富であることと、「お客さんが色々なお店を回らなくても済むように」との想いから、肉やお惣菜など野菜以外の食材も多く扱っている点も人気の理由です。
現在、同センターの野菜・果物は「ふるさと納税」の返礼品としても大人気なのだとか。
そば処「そすい庵」
「直売センター」に隣接する「そすい庵」では、傍らを流れる『那須疏水』に水車を設置し、その水車を使って「蕎麦粉」を挽いています。
実際に水の流れを原動力にした本物の水車によって蕎麦粉を挽いているのは、県内でも珍しいのだとか。
機械を使うよりも手間と時間は掛かりますが、エコである上、美味しくできるのだそうです。
繊細な蕎麦の味をそのまま残すため、5つもの工程を経て蕎麦の実を粉にするため、1日に45キロ(1日~2日分)しかできないそうです。
しかし、「美味しく食べるためには手をかけないとダメなんです。」と金田さん。
昔ながらのやり方にこだわります。
そうして作られた蕎麦粉を打って蕎麦を作るのは、シルバー大学の卒業生のみなさん。
「そすい庵」では、「シルバー大学で学んだ技術を活かす場を提供したい」と、現在、60~70歳の12名のみなさんがご活躍されているそうです。
一回のそば打ちでおよそ1キロ。1日に数名で20キロも打つそうです。
「そすい庵」のお蕎麦の特徴は、美味しい上に安くて盛りが多いこと。
食べきれない方には、持ち帰り用パックが用意されています。食べ物がゴミ箱行きにならず、こちらもエコになっているのだとか。
もちろん使われている野菜は、直売所の野菜です。
周辺地域で、合鴨農法のお役目を終えた合鴨を、カモ汁として提供しています。
退職後の新たなチャレンジ!
「消費者」と「生産者」をつなぎたい
金田さんが会長に就任されたのは、那須塩原市役所の職員を退職した約1年前。
実は、20年前の「そすいの郷」立ち上げ当初に、旧西那須野町の職員として担当をしたそうです。
ご自身も同じ地域で農業を営んでいることもあり、その後も関わりが深く、退職後に声を掛けてもらったのだとか。
新たな仕事に就き、まずぶつかった壁は、「消費者」と「生産者」のギャップだったそうです。
お客さんは「無農薬」を望みますが、農家さんは無農薬栽培では難しいといいます。
そこで「減農薬」という方法で、双方の希望の折り合いをつけているのだとか。
さらに、同直売センターでは品質に非常にこだわり、基準をクリアーしたものだけを陳列するため、お客さんの満足度は高くなります。しかし、それは農家さんにとっては大変なこと。
かと言って少し基準を緩くしてしまえば、農家さんは喜びますが、お客さんの満足度は下がります。
そういった
“バランス”を保つのが難しいところだといいます。
そんな金田さんは、今年から新たなチャレンジを始めました。
ご家族で農業体験をして頂く
「グリーンツーリズム」を市の後援を受けつつ、開始したのです。
「どのように野菜が作られているのか」「安心して食べられるのか」など、直接見学してもらうことで、「消費者」と「生産者」をつなぎたいと考えています。
今年の開催は5回でしたが、将来は本格的に実施していく予定なのだとか。
みんながイキイキと暮らせるように
驚くことに、「そすいの郷」の従業員のみなさんは、50名すべてが女性なのだとか。
ご婦人たちがイキイキと楽しそうに活躍しているそうです。
しかし、イキイキしているのは従業員のみなさんだけではありません。
金田さんは、何よりも「農家のみなさんがつぶれないように」ということを心がけているのだとか。
大規模農家さんには、農協の出荷基準に満たなくとも味は変わらない野菜を「直売センター」に卸してもらい、「無駄が出ないように」と。また、小さく作っている農家さんにも「少しでも収入にしてもらえれば」と考えているそうです。
金田さんは、「中でも、お年寄りの方にとって、自分が好きなことがお金に換算されるというのは、『自分が認められた』という意識が芽生え、イキイキと生きることに繋がるのではないでしょうか。また、“品質の良い野菜を作る”ということで、張り合いが出ます。」といいます。
金田さんの今の楽しみは、おじいちゃんおばあちゃんの笑顔をみることなのだとか。
忙しい毎日で、趣味の山登りにはあまり行けなくなりましたが、みなさんがイキイキとされていることが何よりも嬉しいそうです。
社会の流れに合わせて
金田さんは、今後、高齢化社会に向けて、福祉に力をいれようと思っているそうです。
例えば、野菜は作れるけど運転が出来ず、出荷ができない人などに対して回収を行ったり、一人暮らしのお年寄りに野菜やお弁当などを届ける仕組みなどを考えているそうです。
すでに現在、社会福祉協議会の依頼を受け、お弁当宅配事業のお弁当づくりを始めたのだとか。
大きなスーパーがやらないことに目を向けて、自治会や敬老会など「地域」に密着してやっていきたいそうです。
むすびに
「消費者」 と 「生産者」。
「働きたい気持ち」 と 「働く場の提供」。
利益だけを追求するのではなく、地域のみんなの調整役となっている。そんな素敵な場所のように感じました。
これからの社会の流れに合わせた取り組みで、みんなの幸せを守っていって欲しいと思います☆
※2016年12月3日放送のRADIO BERRY『チャレンジing那須塩原』でご紹介しました。
チャレンジing那須塩原~一歩踏み出す人を応援するまち
「立ち向かうユウキ」「乗り越える強いココロ」「きり拓くチカラ」
僕らは、先人からフロンティア-DNAを受け継いでいる。
だからこそ、新しい世界に挑み、チャレンジする人を応援できるのである。