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あさひまち物語 ~文化と風景~

ヒスイ羊かん vol.1

ヒスイ羊かんの作り方とその開発背景


初めに

こんにちは、ささです! 今回のシリーズでは、大むら菓子舗さんに取材へ行ってきました。様々な和菓子を作られていますが、今回は「ヒスイ羊かん」に注目して、その作り方や開発の裏側についてご紹介します!

ヒスイ羊かんとは、ヒスイの表面にあるデザインを模して作られた羊かんで、朝日町泊に店舗を構える大むら菓子舗さんが作っています。最近では、朝日町への観光客のお土産としても人気があります。みなさんは食べたことがありますか?


どんなきっかけで作られるようになったのか、実際どのような工程を通して作られるのか、そして商品を開発する上で試行錯誤されたことをまとめています。ぜひ最後まで楽しんでいってくださいね。


取材には、大むら菓子舗さんと、朝日町観光協会の上澤聖子さんにご協力いただきました。

1章 ヒスイとは

朝日町に馴染みのある方は、ヒスイのことを聞いたことがない人の方が少ないのではないでしょうか?

ヒスイというと、きれいな緑色と宮崎の海岸を想像される方が多いと思います。フォッサマグナミュージアム(※1)によると、「ヒスイ(翡翠)は宝石の一種で、特に東洋で人気の高い宝石です。古くから日本で広く長い間にわたって利用され、考古学的に重要であり、地質学的にも日本のような沈み込み帯でのみできる『日本ならでは』の石なので、2016年9月24日に日本鉱物科学会が『国石』に選定しました。」ということで、最近では全国的にも注目されているのです。

『dancyu』(※1、p. 156)より

さらに、「糸魚川および糸魚川周辺地域(朝日町・小谷村・白馬村)が最大の産地です。」、「約5,000年前の縄文時代中期に糸魚川で縄文人がヒスイの加工を始めました。これは世界最古のヒスイと人間の関わり(ヒスイ文化)です。」との記載があることから、特定の地域でしか採れず、世界でも珍しいほど太古の昔から私たち日本人の生活に根付いていたものだったのです。もっとヒスイについて知りたい方は、フォッサマグナミュージアムのサイトを訪れてみてくださいね。

 


※1フォッサマグナミュージアム,「ヒスイって何だろう」,

<https://fmm.geo-itoigawa.com/event-learning/about_hisui/>, (最終閲覧日: 2022年01月28日).

2章 ヒスイ羊かん開発のきっかけ

作られたきっかけとしては、和菓子職人である大村邦夫さんが約40年前に見つけたヒスイとの出会いを再現したいと思い、その場面からインスピレーションを受けたことです。白と緑のぼかした色合いがきれいで、この色合いを持ったお菓子が作りたい!と考えました。構想にはなんと10年間かかり、約30年前に販売を開始しました。この10年間の試行錯誤の様子は次の章でお話ししますね。


ヒスイ海岸やヒスイ自体が有名になるにつれて、ヒスイ羊かんの人気も上がっており、朝日町の宮崎海岸沿いにある観光交流拠点施設ヒスイテラスに来たお客さんの多くがお土産として買って帰ります。ヒスイが国石に登録され、その特集としてヒスイ羊かんがテレビ番組の中で取り上げられた際には、より有名になりました。

これは実際に大村さんが拾われたヒスイで、両手のひらに乗せてもはみ出してしまいそうなくらい大きく、このサイズは滅多にみられないそうです!なんだか不思議なパワーを感じますね。

 


大村さんがヒスイと出会ったからこそ、今のヒスイ羊かんが商品として販売されていると考えると、まさに一期一会だなと感じます。ヒスイへの関心が高まっていることで、外から来られた方にも、朝日町土産として認識してもらえていることは嬉しいですね。

3章 ヒスイ羊かんの作り方

ヒスイ羊かんが開発された経緯を学んだところで、早速作り方をみていきましょう!

 

材料:寒天、白餡、砂糖(グラニュー糖)

羊かん

1、寒天を一晩水に浸して戻す。

2、戻した寒天を火にかけて溶かしていく。

3、砂糖を入れていき、滑らかになるように混ぜる。

4、砂糖が溶けたら、白餡を入れていく。

5、色を付ける、食紅で。独自の配合なので企業秘密。

火にかけながら、機械で羊かんを混ぜている様子

寒氷

6、羊かんとは別に、砂糖と寒天を溶かした寒氷(かんごおり)を作る。綿棒で白っぽくなるまで混ぜる。

7、型の底に寒氷を流す。ヒスイの中にきれいな白色が入り込むようなイメージでランダムに。

合体

8、寒氷が固まったら、その上に羊かんを流し込む。

9、一晩置いて固まったら、長方形に切り分ける。

10、一晩羊かんの周りを乾燥させたら、ヒスイ羊かんの完成!

11、袋詰めまで自分たちで行い、店舗と各所に出荷しています。

 


完成までには丸二日間かかります。一つ一つの工程にすごくこだわりが詰まっていることがよくわかると思います。この工程を動画でもまとめているので、ぜひ下のリンクからご覧になってみてくださいね。

4章 ヒスイ羊かんを作る上での試行錯誤

もともと生菓子でヒスイを模したお菓子を作ろうと考えていましたが、あんこのみでその色合いを表現することは難しく、さらに一口で食べやすい和菓子にしたいという思いがずっとありました。ヒスイの特徴としては、硬くて重く、しかし角がなく表面はなめらかなカーブを描いているため柔らかい印象もあり、そして透明感もあります。羊かんなら重さや透明感、色合いが全て表現できることを発見しました。海岸でのヒスイとの出会いは一期一会で、ヒスイには同じ形がありません。なので羊かんは一つ一つ模様が異なり、それぞれ表情が違ったものにしたいとも考えました。そこで先ほどの作り方で紹介したような、寒氷の流し方を考えつきました。

また羊かんを整形する際に袋に入れてみましたが、うまく乾燥せずヒスイの固さを表現できなかったため、別の方法を探すことにしました。型に流し込んで固めた上に、カットしたあと表面を乾燥させることによって、表面は固いが中は柔らかいという二つの食感を表現することが可能になりました。そして型に流す前の羊かんの硬さを調整することも難しく、季節やその日の気温によって火にかける時間が変わってきます。そのため長年の経験をもとに固さには毎回こだわっています。


ヒスイの緑色を表現するのも苦労しました。着色するために自然のものを使いたかったが、羊かんは日持ちするお菓子であるため、日が経つと緑色がくすんでしまったのです。またよもぎで色をつけてみたところ、香りが強くて、羊かんには合いませんでした。そこで綺麗な色を長期間保つためには、食紅で色付けする方が良いと判断しました。どうやってあの綺麗な緑色を作っているのかは、企業秘密です。

加えて、ヒスイ羊かんは一般的な羊かんと大きさを比べると大きめに作られています。サイズを小さくすることも考えましたが、自分たちで羊かんの包装まで行っているため、作業が大変になってしまうことから今の大きさになりました。さらにあんこを練るために使用している機械は古く、現在生産されていないため、故障した際には部品を自分で取り寄せて交換しながら維持しています。

 


このように、ヒスイ羊かんを商品として売り出すまでに、様々な苦労があり工夫が施されてきました。実体験を実際のお菓子に落とし込むという作業が、すごく大変なのだと改めて感じました。今後ヒスイ羊かんを口にする際には、ぜひこの背景を思い浮かべながら味わってみてくださいね!

終わりに

今回はヒスイ羊かんの作り方とその開発の裏側について紹介しましたが、いかがだったでしょうか?

大村さんが海岸で素敵なヒスイに出会えたからこそ、生まれた羊かんであることがわかり、細かな部分までこだわって作られていることがよくわかりましたね。少しでも、ヒスイ羊かんについて興味を持っていただけたら嬉しいです!次回は、大村さんが職人になられた経緯や持っておられるこの仕事への想いを紹介します!

ご協力いただいた方々

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大むら菓子舗

〒939-0742 富山県下新川郡朝日町沼保288

TEL/0765-82-0422 FAX/0765-82-2230

HP:https://www.oomurakashiho.com/

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一般社団法人朝日町観光協会

〒939-0744 富山県下新川郡朝日町平柳688

TEL/0765-83-2780 FAX/0765-83-2781

HP : https://www.asahi-tabi.com/

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その他の活動

活動の様子はこちらでも見ることができます!

ぜひチェックしてみて下さいね~!

 

note: https://note.com/yui_sas1217

Instagram: https://www.instagram.com/stories_in_asahitown/

YouTube: https://www.youtube.com/channel/UC4Ic-Gx0r0BCPTLp5TIdMcg

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。