伊予市パーフェクトガイド
ようおいでたなもし、伊予市パーフェクトガイドの世界へ~♪~♪~♪
第159回目は、伊予市にある「こたろう博物館」の館長であるいせきこたろうさんの『伊予市、ナニミル?ナニヲシル?』シリーズ第23回目です♪
今回から舞台を寺に移して、あれこれ書き綴ってみる。
皆さんは、「寺」に対してどんなイメージをお持ちだろうか。
大抵の人なら、年の始めにその年一年間の無事安泰を祈願して、神社や寺に初詣に行く。そう。「寺」は祈りを捧げる場所の一つである。その意味では、「神社」と「寺」は同じようなものだと考えても差し支えないのかもしれない。
◆皆さんは、神社や寺にお参りに行ったとき、どのような行動をとるだろうか。
内容\場所 | 神社 | 寺 |
境内に入る前/入った後 | 手を洗う・口を漱ぐ | 手を洗う・口を漱ぐ |
祈りを捧げる場所 | 拝殿、境内末社 | 本堂、薬師堂・大師堂など |
祈りを捧げる前の所作 | 賽銭を入れる。 鈴を鳴らす。 | 賽銭を入れる。 鰐口を鳴らす。 |
祈りの捧げ方 | 柏手を打つ。 二礼二拍一礼。 声を出さず心の中で念ずる。 | 柏手は打たない。 頭を垂れて静かに手を合わせる。 読経する。 真言を唱える。 |
その他 | おみくじを引く。 御朱印をいただく。 | おみくじを引く。 御朱印をいただく。 |
祈りを捧げる場所(の名前)や、祈りの捧げ方に違いはあるものの、それほど両者に大差はないように見える。
◆次に、ウォッチングを目的として社寺に訪れるとしよう。社寺を訪れたとき、どんなものが目に映るだろうか。
内容\場所 | 神社 | 寺 |
境内入口(建造物) | 桜門、随身門 | 山門、仁王門 |
境内入口(石造物) | 社号碑、神名石 鳥居、燈籠 狛犬、注連石 | 寺号碑、山号碑 燈籠 |
境内(建造物) | 拝殿、中殿、本殿 境内末社 | 本堂、庫裡、薬師堂、大師堂など |
境内(石造物) | 手水石(水盤) 句碑、文学碑、顕彰碑 | 手水石(水盤) 句碑、文学碑、顕彰碑 墓碑、供養塔 |
これも、構造や名前に多少の違いはあれども、だいたい似通ったものが置かれていると言えよう。
過去には、神仏混交の時代もあったことだし、ある程度は調和・融合している部分はあるのかもしれない。しかし、だからと言って神社と寺を「同じようなもの」と言い切るのはあまりにも大雑把すぎる。
内容\場所 | 神社 | 寺 |
宗教 | 日本神道 | 仏教 |
職務を行う人 | 神主、宮司、禰宜、権禰宜 | 住職、僧侶、和尚 |
社殿・本堂に祀られるもの | 御神体 ・神器(鏡・剣など) ・御弊 ・神像 | 仏教(本尊、脇侍) |
のように、神社と寺は似て非なるものであるのだから。
のっけから、妙ちくりんな社寺対比をしてみたのだが、読者の皆さんは「こんなことは言われなくてもわかっている」とおっしゃるに違いない。そう。単にわかりきったことを整理しただけのこと。わかりきったことなのだが、整理してみると意外に耳慣れない言葉も多いし、正しく使い分けできていない言葉が多いことに気づかされるのではなかろうか。
前置きはこのくらいにして、寺に関するディテールをあれこれと眺めていくことにしよう。神社では見られないものを中心に掘り進めていくこととしたい。
と言ったものの、寺に足を運んでみると、心無しか神社に比べて若干居心地が悪いような感じがしてしまう。
これは、寺に「死」のイメージが付きまとっているからだろうか。日本の葬儀の約9割は仏式と聞く。そのせいか、仏教は「葬儀仏教」、寺は死者を弔う場所と、単純に考えてしまいがちだ。
実際、寺を訪れたときに出会うのは、大抵は故人の年忌法要や墓参のために訪れる人、いわゆる檀家の方々だ。だから「お寺へとウォッチングに繰り出す」のは、何となく不謹慎というか、バチ当たりのような気がしてしまう。境内をウロウロしたり、境内に存在するものをしげしげと眺めたりすることに不快感を抱かれるのではないかと心配してしまう。私のような好事家的な人間の来訪なんて、きっと歓迎されないに違いない。こんな風に、自責の念に駆られてしまう。
だけど、寺は「見聞すべき教材の詰まった場所」であり、それらの素材を直に眺め、そこから多くのことを学びとりたいと純粋に考えて寺を訪れている。
だから、住職、そして檀家の皆さん、なにとぞ寛大に御受け止めいただきますよう。
神社であれば鳥居を潜って境内に入っていく(例外として伊予稲荷神社のように楼門を構える神社もある)のだが、寺の場合は山門を潜ることから始まる。だから、まずは山門を眺めることにする。
最初は、伊予市灘町にある浄土宗寺院・栄養寺の山門から見ていこう。
写真:栄養寺(伊予市灘町)山門(左:2019年、右:2022年)
総欅造りで、江戸時代の弘化二年(1845)に建築されたもので、伊予市景観重要建造物(平成29年4月1日指定、第2号)に指定されている。耐震補強のためだろうか、令和2年(2000)年末に控柱の更新工事が行われている、上層部は昔ながらの威容を保っている。
とりわけ、欄間などに建築意匠として施された龍・亀・獅子などの彫刻が見事であり、思わず見とれてしまう。数多い彫刻の中でも、正面の頭貫を支えるように取り付けられている松の籠彫り部分が個人的には大のお気に入りだ。多少の欠損が見られるが、松の枝・葉だけでなく、花や松ぼっくりなども、緻密でそして中空の状態で彫られている。日本の匠の技が光っている。
写真:栄養寺山門の籠彫り
写真:大興寺(伊予市中山町)山門
お次は、中山町にある曹洞宗寺院・大興寺の山門である。
二層構造、一階部分が漆喰塗籠めの袴腰になっており、その上に入母屋造りの木造建築を乗せている。安永九年(1780)に再建、昭和二四年(1949)に改築されたという。
この山門は、伊予市の他の寺には見られない独特の形をしている。中山町誌では、「支那様式建築」と説明しているが、竜宮門と呼んで差支えないだろう。
伊予市近郊で言えば、長楽寺(松山市西垣生町)などでも見られる様式の山門であるが、県内でもその数はさほど多くなく、一見の価値はあると思える。
また、特筆すべきは、二階部分裏側の鏝絵だ。
写真:大興寺山門裏側
二階部分の壁面いっぱいに二匹の龍が堂々と描かれた鏝絵が掲げられている。県内の色んな寺を巡ってきたが、このような大きさの鏝絵を他で目にしたことはない。これも非常に珍しいものと言えるだろう。構図的にも美しく、美術品として鑑賞する価値もある。
以上の通り、山門は建築物全体としての威容を眺めるだけでも十分に楽しめるのだが、そこに付属されたもの、細部に散りばめられた建築意匠にまで目を向けると楽しみは倍増するのである。
◆お店の詳細◆
店名:こたろう博物館
住所:愛媛県伊予市灘町60-3
電話:(非公開、詳しくは店頭で)
営業時間:10:00~19:00
定休日:火・水曜日(その他不定期休がありますので詳しくはホームページ等のカレンダーでご確認ください)
◆「伊予市ガイド vol.156 第22回 神社に詣でる-(6)」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/84157
◆「伊予市ガイド vol.153 第21回 神社に詣でる-(5)」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/82984
◆「伊予市ガイド vol.149 第20回 神社に詣でる-(4)」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/82190
◆「伊予市ガイド vol.147 第19回 神社に詣でる-(3)」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/81199
◆「伊予市ガイド vol.144 第18回 神社に詣でる-(2)」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/80131
◆「伊予市ガイド vol.141 第17回 神社に詣でる-(1)」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/79193
◆「伊予市ガイド vol.138 第16回 石造物を訪ねる」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/78092
◆「伊予市ガイド vol.135 第15回 道を訪ねる-(5)~いにしえの道」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/77204
◆「伊予市ガイド vol.132 第14回 道を訪ねる-(4)~その他の道」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/76376
◆「伊予市ガイド vol.129 第13回 道を訪ねる-(3)~市道とか」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/75466
◆「伊予市ガイド vol.126 第12回 道を訪ねる-(2)~そして県道へ」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/74761
◆「伊予市ガイド vol.123 第11回 道を訪ねる-(1)~まずは国道を」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/73821
◆「伊予市ガイド vol.120 第10回 橋を眺める~何かしらを跨ぐ路(みち)-(4)」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/72993
◆「伊予市ガイド vol.117 第9回 橋を眺める~何かしらを跨ぐ路(みち)-(3)」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/71897
◆「伊予市ガイド vol.114 第8回 橋を眺める~何かしらを跨ぐ路(みち)-(2)」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/71175
◆「伊予市ガイド vol.111 第7回 橋を眺める~何かしらを跨ぐ路(みち)-(1)」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/70419
◆「伊予市ガイド vol.108 第6回 地下を潜る路」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/69458
◆「伊予市ガイド vol.105 第5回 川を堰き止めるものを訪ねる」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/68618
◆「伊予市ガイド vol.102 第4回 水を求めて~川を見つめる(2)」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/67646
◆「伊予市ガイド vol.99 第3回 水を求めて~川を見つめる(1)」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/66679
◆「伊予市ガイド vol.96 第2回 水を求めて~ため池を眺めてみる」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/65665
◆「伊予市ガイド vol.93 第1回 農村風景を眺める」
https://matsuyama.mypl.net/article/iyo-perfectguide_matsuyama/64697
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