あさひまち物語 ~文化と風景~
こんにちは、ささです!
前回は、灰付けわかめの歴史と収穫条件について紹介しました。
↓下のリンクから見ることができます!
今回は、わかめ採りから出荷までの一連の流れを紹介します。
大まかな流れは、以下の通りです。
わかめを採る→さばく→灰をまぶす→干す→回収(ここまでを1日で行う)
→袋詰め→出荷
これを踏まえて、具体的な作業内容について、さっそく見ていきましょう!
取材には、朝日町漁業協同組合(以下、漁協)さんと、朝日町観光協会の上澤聖子さんにご協力いただき、一部写真は、上澤聖子さんからご提供いただきました。
わかめ漁へは、朝の6時ごろ出ます。収穫には、通称「風車」という道具を使います。
長い棒の先に、風車のような形をした金属があり、その下には円盤形の刃がついています。
長さは3mほどあるため、船に乗ったまま収穫を行うことができます。
風車の部分で、わかめの茎を絡めて、その下にある円盤型の刃で、茎の根元を刈ります。
右回りに2回ほどぐるぐると回すと、簡単に収穫できます!
天気の良い日に漁へ出るため、海水が見えるほど水が澄んでおり、箱眼鏡(海中を見るための道具)がいらない上、潜らずにわかめを収穫できるというメリットがあります。
効率の良さを追求した結果、気象条件が決まり、便利な道具が使われるようになったのですね。
風車の形をした金属と円盤型の刃
長さが約3m
水揚げされたわかめは、すぐに干し場の近くに運ばれます。
まず、太くて硬いわかめの茎を包丁で削ぎ落とします。
まな板は使わずに、包丁で茎の端をなぞるようにして包丁を入れます。
この時、茎の部分を少し残してさばくと食感が良くなります。
残った茎の部分は、佃煮などにして食べます。食材を余すことなくいただく習慣が身についているのですね!
さばく前のわかめ
さばいて取り除いた茎と日焼けした部分
また、わかめの先の方で日焼けをしている部分は、食感がざらざらしてしまう上に、色が変わっており、灰をつけても乾いた時に色が薄くなってしまうことから、商品としてよくないため、この工程の中で取り除きます。より良い品質を保つために、毎回気をつけています。
わかめをさばいている様子。
根本から包丁を入れます。
漁協組合員の方にお話を聞くと、昔はこの時期になると、「爪を伸ばしておきなさい」と言われていたそう。
わかめを毎回包丁を使ってさばいていると時間がかかってしまうので、爪で茎を割くようにしてさばいていたそうです。
作業効率を上げるために、昔から工夫していたことがよくわかりました。
次にさばいたわかめに、灰をつけます。
わかめは採れたてで、表面に水分が多くついているため、最初は灰も濡れて黒くなっているものをつけます。
ある程度灰が付いてきたら、乾燥した灰色の灰をつけることで、全体的にきれいに灰がつきます。
ここも長年の経験が生きていると感じました。
左が組合員の方で、私も見習いながら灰付け体験をしました!
過去に、この灰付け工程の機械化を試みましたが、手作業ほどうまく灰をまぶすことができず、断念しました。
ベテランの皆さんの手作業に敵うものはないようです!
灰をつけ終わったわかめは、すぐに砂浜の上に並べられます。
茎の部分は乾きにくいため、なるべく広げて、乾燥しやすいようにします。
茎の部分を上にして並べていくと、回収するとき集めやすいです。
わかめ同士が重なってしまうと、その部分が乾きにくくなってしまうため、並べる際に注意を払ってきれいに広げます。
砂浜が広がっている場所でも、大きな石や多くの砂利があるため、わかめを並べる際にその砂利を退けていきます。
わかめを広げています。
干したてのわかめは灰が濡れて暗い色をしています。
まだ湿っているわかめを砂浜の上に並べると、砂がついてしまうので、本当なら干す場所を砂利やコンクリートにしたいのです。しかし、砂利だと地面が平らでないため均等に乾きにくく、コンクリートだとわかめに匂いがついてしまうので、今でも昔から行っている砂の上に干しています。
お昼頃には灰付けしたわかめは全て干し終わり、夕方まで乾燥するのを待ちます。
夕方5時半ごろに回収します。この時間は、ちょうど「あいの風」が吹いてくる時間帯です。
あいの風とは、北東の海側から、夕方になると吹いてくる湿った風です。
日中でパリパリになったわかめが、海からの湿った風によってしんなりすることで、扱いやすくなります。
パリパリしすぎると少しの衝撃で壊れてしまいますが、この風のおかげで、わかめが大きいまま割れたり崩れたりせずに回収することができます。
先人の知恵には、本当に驚かされるばかりです。
集めるときの注意点としては、灰のついていない部分は、灰のついた黒色ではなく緑色になっており、商品にしたときに一部のみ見栄えが悪くなってしまうため、この工程の中で取り除きます。
ここでも商品にならないものがないか、細心の注意を払っています。
左側のわかめは、きれいに灰色になっているのに対し、
右側のわかめは、所々緑色が残っているのがわかりますか?
ここまでの流れを、動画でまとめてみたのでご覧ください。
作業の様子が、よりわかりやすくなると思います!
後日、袋詰めの作業に入ります。100gと200gをそれぞれ測って袋詰めをします。
その後、検品を経て出荷となります。
灰付けわかめは完全に乾燥しているため、作業中は乾いた灰で真っ黒になってしまうほど、灰にまみれてしまうから大変!
わかめの量を測り、袋詰めをしている様子。
今回見てきた工程全てが手作業で、手間がすごく掛かっています。
さらに、ベテランの方々の経験を頼りに作業を進めていました。
そのおかげで、高い品質を保てているのだとわかりました。
その一方で、高齢化が進み、人手が少なくなってる現状では、この工程は生産者への負担がすごく大きいとも感じました。なので、現在まで伝わっている「技」を、記録して継承することが大切だと改めて思いました。
また、「この歳になってくると、いつまで灰付けわかめつくりができるのかはわからない。けれど来年のために、準備だけはしておかなければならない。」という組合員の方々の言葉が印象的でした。
今回のわかめ採りから出荷までの流れは、いかがだったでしょうか?
灰付けわかめは、このような工程を経て製品化されていたのですね!ご存知でしたか?
生産者の手間暇がかけられた灰付けわかめに、少しでも興味や愛着を持っていただけたら嬉しいです!
次回は灰付けわかめの特徴と、朝日町漁業協同組合の水島洋さんへのインタビュー内容をご紹介します。
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朝日町漁業協同組合
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TEL/0765-82-0034
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HP : https://www.asahi-tabi.com/
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